電波時計とJJY Simulator

自分の部屋で机やパソコンに向かって作業するときに、いつも見える場所に置いておくのは小型の電波時計。これは6年ほど前に買ったもので、福島の標準電波(40KHz)と九州の電波(60KHz)を受信するようになっている。残念ながら家で普段置いている場所ではどちらも受信できない。鉄筋の建物で北方面や西方面に開けた窓がないのと、パソコンやルーターや玄柴とかが常時動いていてノイジーな環境だというのが受信できない原因だと思う。
そこで月に何回かベランダの近くに時計を移動して強制受信する事にしている。これで何とか正確な時刻を表示してくれていた。
ところが、3月11日の震災とそれに続く原子力発電所の事故で福島局の電波が止まってベランダ受信ができず、じわじわと時計の狂いが気になるようになってきた。半ば諦めて手動で時計を合わせようかと思っていたら、iPhoneアプリ「JJY Simulator」が目にとまった。
このアプリは先ずiPhone側の時刻(正確にはJJY Simulatorアプリ固有の時刻)をNTPで補正して、次に40KHzの3分の1の約13.3KHzで標準電波と同じキャリアパターンを出力する。イヤフォンでこれを鳴らすと、耳に装着しなくてもかなり耳障りな高音が聞こえてくるけど、この状態でiPhoneの音量調節を最大にして、ヘッドフォンのコードを電波時計に巻き付ける。数分待つと、ちゃんと電波を受信して時刻が補正された。
ただでさえ耳障りなのに、なぜ最大音量にしなければならないのかというと、音をひずませることによって、波形を綺麗な正弦波からひずませてスプリアス(高調波)を発生させる必要があるから。これによってヘッドフォンケーブルから40KHzの電波(第三高調波)が漏れ、これを電波時計が受信することになる。

ただこのままだとイヤフォンからの音がうるさいのと、ケーブルを時計に巻き付けないとうまく受信してくれないという2点が難点。そこで、簡単なアンテナを試作してみることにした。アキバで10mのリード線と3.5mmステレオミニプラグ付きのケーブル(両方あわせて715円)を購入して、リード線の片方をミニプラグから伸びる左右の音声信号、もう片方をアース線に接続した。リード線自体は購入した時のぐるぐる巻きの状態のままとした。

これで試してみたら音もしないし時計から15cm程度離れていても受信するようになった。ただ、マッチングを考慮していない簡易なものなので、iPhone側の音声出力回路に負荷をかけているかもしれない。試す方は自己責任でどうぞ。

一度再開した福島のJJYも再び停波した模様で、しばらくはJJY Simulatorのお世話になりそう。