究極の地デジ難民対策

テレビもレコーダも地上デジタルに対応したものを買い揃えている人は、コピーワンスの件を別にすれば特に問題にはならないだろう(コピーワンスは、これはこれで大問題なのだが)。地上デジタルに対応していない機器を使っている人は「地デジ難民」となりうる。数日前に次のニュースが流れた。


詳細は明らかにされていないが、基板を良くみると、アンテナ端子がひとつと映像・オーディオの出力端子がついているようだ。ほかの端子はリモコン入力なのだろうか?現在でも販売されている地上デジタルチューナーと基本的に同じ機能だろうか?小型・廉価であるということがメリットなのだろうか?
私は、これがいくら安くても(たとえ無料で配られても)、地デジ難民は救われないと思う。アンテナ工事がネックか?たしかにそれもあるだろう。アンテナに関してはUHF局を視聴する必然性が無かった首都圏が一番深刻。ただ、アンテナの件がクリアされていたとしても状況は変わらない。
大きな要因の一つは、操作方法が変わってしまうこと。アダプタを取り付けると当然いままでのチャンネル切り替えでは放送局は切り替わらなくなる。操作方法が変わってしまうというのは高齢者の居る世帯だと大きな負担だろう。
もうひとつは、実用的なエアチェックができないということだ。ビデオデッキの普及率は一家に一台を超えているだろう。一方デジタル放送対応のHDDレコーダは、いまひとつ普及が進んでいない。ビデオデッキやアナログ放送のみに対応したHDDレコーダにはデジタル放送チューナーのチャンネルを制御できる機種は少ない。たとえば、出かけている間に番組を予約録画したいとき、ひとつの番組であればあらかじめアダプタのチャンネルをセットしておけば、ライン入力指定の予約で録画できる。でも番組が2つ以上あってかつ放送局が違うときはお手上げだ。つい最近まで販売されていたアナログ放送用のHDDレコーダは、テレビ電波より番組表を取得してEPG予約機能を実現していたが、これらもまったく使えなくなる。

これらを解決するのに良いアイディアがある。放送されているすべてのデジタル放送をアナログ方式のRF(従来のチャンネル)に変換・出力する地デジアダプタを作ってしまえばいい。要は「デジ・アナ変換アダプタ」だ。デジタル放送では番組表データが流されているので、これをアダプタにてGガイド方式のフォーマットに変換してTBS系のRF信号に重畳する。このアダプタは入力はアンテナ端子、出力もテレビのアンテナに接続するRF出力端子。あとは電源...それだけである。おそらくものすごいシンプルな外観にできるだろう。リモコンやネット接続などは一切不要だ。一家に一台これがあると、アダプタの出力を分配することによって従来のアナログ機器がすべてそのまま使える。ビデオの予約もチャンネルの切り替えを気にする必要は無いし、RDシリーズのようなアナログ放送向けHDDレコーダもまったく同じ使い勝手で利用できる。

技術的には、デジタルチューナーを複数個並べてデジタル信号処理の後にD/A変換・モジュレータ・マルチプレクサを経てRF出力を得る、という流れになると思う。デジタルチューナーはシリコンチューナーを採用すれば小型化・低コスト化ができると思うし、マルチチャンネル放送やデータ放送をサポートする必要は無いので、それほどコストはかからないのではないだろうか? それに相当な需要があるはずなので、量産効果も見込める。多少コストがかかってもこのようなアダプタを開発し、配布・販売すると、アナログ機器は本来の寿命がくるまで使用でき、資源の無駄にならないし、なによりも視聴者の幸せにつながると思う。