胃カメラ検査体験記

先日、20年ぶりに胃カメラ検査を受けてきた。以前は御茶ノ水の近くにある大病院で受けのただが、カメラがのどを通らなくて散々な検査だった。そのトラウマがあるので、人間ドックの結果面談で内視鏡検査を言い渡されたときは非常に落ち込んだのだが、ネットで調べると、飲み込むときに嘔吐感無しで済む方法があるということで、早速実施してくれる病院を探し出して行って来た。検査は「経鼻内視鏡」というもので、通常口から入れる内視鏡胃カメラ)を鼻から入れて胃の検査をしてしまうというものだ。鼻から内視鏡を挿入すると、舌の奥に触れずに済むので、嘔吐感がなく、楽に検査を受けられるというわけだ。
検査は土曜日の午前中だったのだが、前日の食事は午後9時まで可能、水分の摂取も午前零時までOKとのことだった。当日朝めざめるとまずコップ2杯の水を飲み、家から病院に向かう。受付をしてほどなくすると名前を呼ばれ、検査室へ。最初に鼻のチェックをされる。「どちらから入れますか?」と聞かれたので、「どちらからでもどうぞ」と答えた。ちょっと風邪気味で鼻もつまり気味だったので、検査担当の医師にそのことを告げたら、「確かに少し炎症がありますねぇ。でも検査には問題ないですよ」とのこと。鼻腔を広げる?薬を吹きつけた後に2種類の麻酔を綿棒のようなもので鼻にこすりつけられた。実はこのときに鼻につんときたのが一番つらかったのだが、麻酔もすぐに効いて、鼻の奥まで綿棒でつつかれてもまったく感覚がなくなった。麻酔薬がのどの奥まで入るとのどの感覚も麻痺して、つばを飲み込むのがつらく、ちょっと息苦しくなってきた。次にのどの麻酔で、本来はコップを渡されて何か飲むようなのだが、看護士さんがこのステップを飛ばしてしまい、のどの奥にスプレーの麻酔を吹き付けられた。これはちょっとむせてしまったが、すぐに収まった。そしていよいよスコープの挿入である。医師から実物で説明を受けたが、思っていたよりも太くて、「意外と太いんですね」といったら「これでも画期的に細くなっているんですよ」とのこと。確かに20年前に口から入れたときはとてつもなく太く見えたことを思い出した。右の鼻から挿入したが、のどの手前まではまったく難なく完了。内視鏡が体に入っていることさえわからなかった。「余裕があればモニターで見ていてください」といわれたがまったくの余裕であった。ところがその後がよろしくない。内視鏡の先端がのど(ごくりとものを飲み込む部分)に差し掛かったときに強烈な違和感を感じた。どうやらのどから食道までの行く手が通常閉じており、先に進めないらしい。「あー、前回の検査でもおそらくここで難儀したんですねぇー」という医師の声が聞こえてきたが、強烈な違和感でおもわず「おぇ!!」となってしまった。でも、「ものを飲み込む動作をしてください」という医師の指示で何とか先端がのどを通過すると、あとは非常に楽だった。食道と胃と十二指腸を一通り撮影し、胃炎らしき炎症があるということで念のため炎症部分の組織を採取して、結局挿入してから5分強くらいで検査が終了した。検査の後半では再びモニターを見る余裕が出来、内視鏡を挿入したままでも医師と会話も交わせた。
非常に恐れていた「胃カメラ」であったが、経鼻内視鏡によって従来の口からに比べるとはるかに楽な検査に変貌していた。経鼻内視鏡検査を受けようとする人は、このページが参考になる。ここでは検査実施機関のリストまで載っているが、全国レベルでもまだまだ施設が非常に少ない。ぜひ普及して、わざわざ実施施設を探さなくても普通に受けれるようになってほしいものである。