変われる国・日本へ

変われる国・日本へ イノベート・ニッポン (アスキー新書)

変われる国・日本へ イノベート・ニッポン (アスキー新書)

昨日一晩で読了。
先日のソフトウェアジャパンでの坂村さんの講演内容がベース。イノベーションということを考えたときに、現在の日本の得意不得意。問題点。弱い部分や問題点をどのようにすべきかということが、技術面だけにとどまらず、裁判員制度や外交まで含めた非常に広い範囲にわたって、具体的な事例を交えて論じられている。技術者だけでなくすべての人に読んでもらいたい本。
ところで、今の日本や日本人のありかたに危機感を持って、警鐘を鳴らすために出版されるこのような本は、最近特に増えてきている。けれども、それらの本がきっかけになって何らかのムーブメントが起こり、(良い方向でも悪い方向でも)何かが変わったという話は、なかなか聞かれない。もちろん本に書かれている内容がすべて正しいとは限らないだろう。そういった状況で本が出版されるだけで世の中がいちいち反応していたら大変だというのも事実だ。でもそれはまず議論されれば良いのであって、そこから何かが芽生えるものだと思う。すべての読者が同じ問題意識を持てるのは確かなのだけど、実際に物事を決める/進める立場の人がなかなか動かないというのが現実ではないだろうか。たとえ本を読んでいたとしても...である。物事が慎重に進められることによってリスクを回避するという点で、もちろんこれでも良い分野もあるのかもしれないが、そうでない分野もあると思う。「情報を受け取った後の行動力」というのも、もしかしたら今の日本人にもっと必要なのかもしれない。