地上デジタル放送のコピー制御について知っている人はまだ少ないと思う

麻倉氏がこのような話をある会合で語った時に、とある在京キー局の人がこう語ったという。

 「放送は生で見るものです。アサクラさん」

 「コピーワンスは、もしかしてエアチェックする気をなくさせるのが目的ですか?との質問に対して、在京キー局の人は『まさしくその通り』と答えて非常に驚いた。こういうことをいっているのだから、ハイビジョン時代になっても放送局の体質は全然変わっていない」

B-CASシステムやその運用について、なぜこんなことが容認されているのかが不可解という日本のデジタル放送の現状だが、既存の放送局がいかに変化を嫌っているのかがこのページからもよくわかる。放送は現時点では有限の資源である電波を総務省の免許を得て使う許認可事業で、実際放送という行為は既存局の既得権益となっているわけであるが、中長期的にはIP伝送を前提とした新たな仕掛けを考える必要があるのだと思う。それには放送の伝送手段を早く電波中心からIP伝送中心に変えて、新しい枠組みを作るべきである。短期的には2011年の(私はこのままだと大幅に延期されると予想しているが)地上波放送の完全デジタル化に向けて、使い物にならない現状のコピー制御の仕掛けを早くなんとかしてほしいものだ。