中国での騒ぎについて

この日記にも書いたことがあるが、昨年の秋に中国各地を一週間ほどでまわってきた。時期的には新潟県中越地震が発生した直後で、ホテルでテレビを見ると、現地でも「地震国日本」などのタイトルがついて、特別扱いで報道されていた。中国語がわからないので、その内容については不明だが、過去の日本での地震被害について引用されている映像は、すべて関東大震災の時期のものだった。当然、白黒映像であるし、人々の格好も現在とはかなり違うものだった。もし日本の放送局が過去の地震を引き合いに出すのであれば、最近の地震の報道映像を使うのが常識だろう。大規模な被害であることをあらわすのであれば阪神大震災の映像であろう。数十分番組をみていたが、結局関東大震災のころであろう映像しか放映されなかった。
昨今中国での日本大使館などに対する騒ぎをみていると、その背景には中国政府が、戦後の日本を国民に伝えないといことがあるのではと思う。中国の放送局はすべて国営で、放送内容は国がコントロールしている。地震被害の映像に戦前の日本のものを採用したのも「現在の日本の姿はできるだけ自国民には伝えない」というの意向なのだろう。「現在の日本」「現在に至るまでの日本のあゆみ」「現在の日本のなやみ」を中国の人々が正確に知っていたら、たとえ総理大臣が靖国に出かけてもこのような動きにはならなかったかもしれない。国が自国民に対して正しい情報を伝えないというのは、なにも中国だけではない。まだ衛星通信やインターネットが発達していなかったころは、人々は外国の情報を得るために短波放送を受信していたが、それに対する妨害電波は、中国や当時のソ連を初めとして多くの国が送信していた。インターネットではあからさまな妨害はできないので、今日このような目に見える形での情報の封じ込みは影を潜めたが、「情報を妨害する」から「情報を伝えない」と形を変えて、現在でも脈々と情報の操作が行われているのだと感じてる。