PDAの進むべき道はPCとは別である

しばらくTH55に力点を置いてモバイルのシーンでノートPCを使う機会が減っていたが、先日久しぶりにムラマサを外出先で使用してみた。やはりPCの使い勝手はPDAとは別格である。PDAがこれに追いつくのは(制約された解像度の画面や入力デバイスを考えると)不可能かもしれない。場所を選ばず気軽に利用できるというPDAとしてのメリットは確かにあるのだが、同じマシンでネットの閲覧や長文の入力を行うのはやはり無理があると思う。そういった中でPDAに分類される機器の生き残る道は「いかにPDA的な」利用法を提供できるかということだろう。「歩きながらでも使いたいと思ったときにすぐに起動でき、すぐに必要な情報にアクセスできる。」というPDAとしての王道を各メーカーには追求してもらいたい。

数多いPDAのアプリケーションの中で、メモリーカードに録画済のテレビ番組を視聴する機能はなかなか便利だと思う。ノートPCだと内蔵HDDにコンテンツをコピーしなければならないし、なによりもバッテリーの容量が心もとない。現時点では実用的な録画時間に対応する容量のメモリーカードがまだまだ高価だが、これがクリアされたら結構普及するのではないかと思う。

PocketPCのコンセプトは「パソコンでできることがPDAでもできますよ」であるが、PDAの機能は「PCを持ち歩けないようなシーンであなたの役に立てます」をコンセプトにすべきではないだろうか。その意味で今後のPalm OS陣営(日本ではもはやソニーのみだが)に期待している。

モバイル関連で私がいま注目しているのは、京セラから来月発売予定のAirH”PHONE「AH-K3001V」である。これは、ブラウザとしてOperaを採用し、一般のウェブサイトを携帯電話の画面で表示できる。AirH"の定額データ通信プランにも対応しているので、通常のPC環境をそのまま外に連れ出せるようなものである。当然解像度はPC違うし、私が先ほど書いた「PDAの進むべき道」とは違い方向性なのだが、「PCならでは」の領域に挑戦するモバイル機器は、そのチャレンジ精神が実際にはどのように形になっているのかという点で興味が沸いてくる。